宗教遺産巡りコース

A 逆さカシワと勝源院


勝源院の逆さガシワ(国指定天然記念物)
勝源院の逆さガシワ  カシワは上向きに直立する性質がある。勝源院の奥庭にある?さ12.2mのカシワは直立しておらず、地面際で四方に枝分かれして、そのまま地を這うように立ち上がっている。根が枝になったような姿から「逆さガシワ」の異名で親しまれている。大正11年(1922)の国の天然記念物調査報告書によれば、樹形は人為的なものではなく、一種の奇態としながらも特異な成長を遂げていることから名木とされ、昭和4年(1929)に国の天然記念物に指定された。紫波町唯一の国指定天然記念物である。。         

勝源院の逆さガシワ(国指定天然記念物)

柏紋と校章  柏(カシワ)は、古くから鷹の羽紋・橘紋・藤紋など十大家紋の一つとして家紋に広く用いられてきた。柏の葉は広く葉肉が厚いので、食物を盛る食器の代用とされた。宮中で食膳を担当する職は膳と称された。豊臣秀吉が三戸南部氏信直に与えた領知安堵状には「南部大膳大夫」と名宛てされ、官職名としても使われていた。武家では土佐藩山内家の「土佐柏」が知られるが、神紋としても使用される。校章にも使われることも多く、紫波総合高校では柏の葉三葉を校章の一部に使用している。       


嘉元三年(1305)の板碑
勝源院に移された板碑  勝源院の境内には、かつて嘉元3年(1305)の年号が刻まれた石卒塔婆(板碑)が移されていた。この板碑は古くは高水寺城の観音平に所在していたものである。明治7年(1874)に確認され、勝源院の境内に移されたが、戦後間もなく現在地に戻された。碑には阿弥陀三尊(阿弥陀如来・観世音菩薩・勢至菩薩)の種子が刻まれている。高水寺城は、高水寺を移転し、その境内跡に築城されたと考えられている。かつて高水寺境内にあった碑が築城のために移されたのか、築城後に建てられたものか不明である。                    


勝源院境内の橋本善太氏顕彰碑


勝源院と名誉町民橋本善太  勝源院の奥庭の名木「逆さガシワ」の奥の方に紫波町名誉町民の橋本善太氏の功績を伝える顕彰碑が建立されている。橋本善太氏は地方政治家として活躍したが、蚕種業界と種鶏業界でその功績が評価されている。養蚕・養鶏事業家であった橋本善太氏は、蚕種製造においては強健で生糸歩合の高い一代雑種「大安橋」の作出に成功した。さらに鶏に蚕の遺伝を応用し、昭和14年(1939)に世界で初めて1年間に365個の卵を産む超多産鶏を産出させ、世界の養鶏家として歴史的な足跡を残している。